プロのIT技術者と、アマチュアのIT技術者の根本的なちがいとは。
プロのIT技術者と、アマチュアのIT技術者のちがいは一体何だろうか。こう言った質問を、新人の技術者から投げかけられる。
それに対して、「仕事でやっているのがプロ、楽しみのためにやっているのがアマチュア」と言った解答も見受けられるが、あまり役に立たない回答である。なぜなら、新人が求めているのは、「仕事と楽しみのちがい」という根本的な部分であり、それに触れていないからだ。
同じように、「プロの方がシビアに考えている」といった精神論の違いもあまり意味は無い。アマチュアでもプロ並みの意識でやっている方はたくさんいる。また、「プロの方が、技術力がある」と言う人も間違っている。アマチュアにも技術力はある。
では、根本的な違いは一体何か。
一言で言うと、「金が貰える仕組みの中でやっているのがプロ、そうでないのがアマチュア」と言える。
どういうことか。例えば、金が貰えるソフトウェアとは何か、といえば当然、「マーケット」があり、「顧客」がいる場所で使われるソフトウェアだ。プロはそこにソフトを狙って提供する。
アマチュアは違う。「自分がやりたいこと」あるいは「できること」からソフトを考える。偶然当たることがあるかもしれないが、たいてい外れる。プロはそれでは食べていけない。だから、プロは「マーケティング」をきちんと行う。
別の例をあげよう。例えば「ソフトウエアの品質」についてはどうか。アマチュアは品質については自分で決定できるので、「自分と、ユーザー」が満足すればOKである。しかしプロは違う。
プロは「金が貰える品質」を考えることから始める。金が貰える品質とは、「ソフトウエアの機能を満たし、ユーザを満足させる」だけでは当然足りない。
- 自分でない誰かがきちんとメンテナンスできる
- メンテナンスにコストが掛からない
- 他の商品に転用しやすい
- フェイルセーフ
と言った様々な基準を満たすものであり、「あなたとユーザー」だけではなく、利害関係者の考え方すべてをある程度理解した上で、合意によって成り立つものである。
これが、プロとアマチュアの差である。
だから、もしあなたが「プロの技術者」であるならば、「この行動は、お金が貰える仕組みの中でやっているのか?」「利益が出る仕組みの中で、考えられたことなのか?」を自分に問わなくてはいけない。
そうでなければ、会社から給料をもらっているだけのアマチュアである。